小説の中で誰々の○○という曲という具合で音楽が出てきた時、
特にストーリーに影響しない役割だったら、ただの邪魔者だと思う。
作者としてはちょっとしたアクセサリーのつもりで入れたとしても、ヘタしたら、作者の趣味の押し付けのように思われても仕方ない。
・平壌時間の話
8月15日、北朝鮮は「平壌時間」を導入した。
これまでは日本と同じグリニッジ標準時+8時間だったのが、8月15日から+7時間30分となる。
つまりこれからは北朝鮮と日本は30分の時差が生じる。
どうして今この時間を導入したかというと、曰く
「日本帝国主義者に奪われた朝鮮の標準時間を取り戻す」とのこと。
理解し難い理由はさておき、この決定が北朝鮮内でどのように報道されたか見てみよう。
8月15日から遡ること8日前、8月7日に平壌時間の導入が発表された。
この時のニュース映像がYouTubeにアップされている。
ありがたいことに、日本語字幕付きなので、朝鮮語がわからない人でもどんなことを言っているか理解できる。
これがその動画。
ただし、15分とやや長いニュース映像なので、一部切り取って解説することにした。
冒頭、平壌時間を導入したという布告が流れる。
その後市民の反応を取り上げるが、「意義深いことだ」「日帝に奪われた時間が戻る」など、判を押したように好意的な声しか取り上げない。
まずは標準時とは何かということから取り上げる。19世紀まではそれぞれの地域が太陽を通過する時間をもとに地方時という時間を取り上げてきたが、地域の交流が盛んになるとそれでは不便なので、
イギリスのグリニッジを通る経度を基準に 経度ごとに24の時間帯に分け、それぞれに標準時を設けたという。社会の授業を受けているみたいでなんだか懐かしい。
ここからは歴史の話。朝鮮の各王朝ではそれぞれが天文台を設け、太陽の動きをもとに日時計で時を測っていたという。そして、
十二支を使って24時間を表していたそうだ。日本でも全く同じような時間体系が過去に取られていた。ちなみにここの説明は長い。「23時から1時は子の刻、1時から3時は丑の刻、・・・」といった具合にダラダラと説明が続く。
日本ならバッサリ数秒くらいで説明するところだが、そうはしないバカ丁寧さが北朝鮮クオリティ。
そのため、朝鮮王朝では東経127度30分を基準とした標準時を導入していたという。
それにしても日本地図の書かれ方がひどい。北海道から九州までが陸でつながり、瀬戸内海は湖に見える。大陸側が正確に描かれているだけに、この描き方は悪意がある。
日本の影響力が日増しに強くなってきた20世紀のはじめ、日本は朝鮮の官庁で日本標準時を導入し、官吏たちを無理やり慣れさせようとしていたという。
そんな中1908年、当時の朝鮮王朝はグリニッジ標準時から8時間30分進んだ「朝鮮標準時」を導入すると決定。専門家曰く、主権を守るための抵抗運動の一つだったそうだ。
しかしその2年後に日韓併合。さらに1912年からは日本標準時が朝鮮でも導入されることになり、朝鮮標準時は「奪われてしまった」。
日本は植民地支配の過程で、土地や文化、名前とともに時間も奪い、民族の誇りを奪った奴らだと罵倒する。
ただし、標準時が変わったことによって具体的にどのような弊害が生じたのかは一切取り上げていない。
そして民族独自の標準時を奪還したことで、偉大な主体朝鮮の歴史は主体革命の最後の勝利に向けて流れていくだろう、と締めくくる。
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国際的には「どうでもいい」「バカバカしい」など揶揄されているそうだが、
平壌時間を導入することでどんな影響があるだろうか。
日本にとってはさほど影響がないかもしれないが、韓国にとっては多少の影響があるかもしれない。
時差が生じることによって外交交渉が少々面倒になるし、将来朝鮮半島が統一されると、二つの時間を一つに統合しないといけないという厄介な問題が発生する。
韓国国内でも北朝鮮に倣って、独自の標準時を導入せよという運動が高まるかもしれない。
(韓国では戦後、朝鮮標準時をもとにした独自の標準時が導入されていたが、今は日本と同じ東経135度を基準にした時間を採用している。)
貿易が盛んな中国やロシアでも時間にずれが生じるということで多少の混乱が見られるかもしれない。
ただ、何より影響があるとすれば、突然時間が30分早くなると言われた北朝鮮の住民だろう。
発表の前に何かしらの方法で知らされていたかもしれないが、70年以上同じ時間で過ごして来たのを30分早く合わせるというのはなかなか難しい。
北朝鮮の住民も内心は「バカバカしい」と思っているのかもしれない。
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