・初めてのセミの抜け殻採集の話
「セミの抜け殻買い取ります」
そんなメッセージがある夏の日の午後、クマから届いた。
なんでも、知り合いがセミの抜け殻を集めていて、セミの抜け殻を集めるよう頼まれたが自分だけでは手に負えない。何匹か取ってきたら買い取るから集めるのに協力してほしいとのこと。
クマの頼みなので、出来る範囲なら、ということで引き受けることにした。
引き受ける、とは言ったものの自分はほとんどセミの抜け殻を見たこともない(どんなものかはわかる)。取ったこともない。
まずはセミの抜け殻のある場所をネットで調べてみた。
調べた結果、脱皮できる環境であれば木でも草でも柱でも脱皮する、高さは1.5mから2mくらいの高さで脱皮する、とのこと。
情報もわかったところで早速近所の公園に出かけた。
公園に到着。
1.5mから2mくらいの高さにセミの抜け殻はあるという情報を意識してそこら中の木の幹を調べてみるが、全然いない。しかし木の上ではセミがやかましく鳴いている。
これはいったいどういうことなのだ!木の上で鳴いているあのセミはどこからやってきたのだ?
公園のあちこちをうろついたが、全く見つけられなかった。ここでは収穫はないだろうということで次の場所に移動。
次の場所は川沿いの緑地。
緑が多くて日陰も多く、セミが多そうと思ったからだ。
早速探してみる。
するとあるあるセミの抜け殻。
それも一つや二つではなく、三つも四つもある。視界にどんどんセミの抜け殻が入ってくる。
手のひらにはあっという間に抜け殻の山が出来上がり、持参していたビニル袋にどんどん入れていった。
そんなことを繰り返しているうちに、30分足らずでなんと110匹以上の抜け殻を取っていた。
一旦帰宅し、大喜びでクマに報告すると「もっと欲しい」とのこと。
取れば取るだけ買い取るというので、夏の暑さも我慢して再び緑地へ出かけていった。
先ほど取ったから収穫のペースは落ちるだろうなと思っていたが、まだまだ抜け殻は見つかった。
集めているうちに抜け殻がある場所が大体わかってきた。
分かったことは、
・親指大の穴がボコボコ開いているところはセミの抜け殻が近くに必ずある
・日陰が多く、湿り気も多少あるところに抜け殻がある
・木の幹ではなく、葉っぱの裏側、あるいは枝に抜け殻がついている
・木でも高所にだけ枝が広がっているような木には抜け殻はなく、低所に枝が広がるような木に抜け殻が多い
・木の種類も、手のひらサイズの葉をつける木には抜け殻が多い印象
といったところだ。
40分間虫さされやちょっとした切り傷も我慢して取りつづけた結果、トータルで350個収穫できた。
3500円の収入。アルバイトとしてはものすごく高時給のアルバイトだ。
集めた抜け殻は、ゴミなどを取り除いて綺麗にした後、100個ごとに袋詰して渡すことにした。
それにしても一生分、いや一生分以上の抜け殻を取った気がする。
そして、あるところにはあるんだなと驚きが収まらない。
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