2015/08/13

脱原発の前に考えるべきこと-僕の小規模な嘆きその65

・脱原発の前に考えるべきこと
あまり社会的なことを書かないけど前から思っていたことを書こうと思う。

今一度稼働を停止した原発を再稼働させようとする動きが強まっている。
そのことに対していろんな意見がある。
「原子力はクリーンで、地球温暖化を食い止めてくれる存在」
「火力発電や水力発電、自然エネルギー発電だけでは電力需要は補えない」
「燃料費が高騰する中、このまま原発を稼働させていないと電気代が上がって国民の生活が苦しくなる」
といった賛成派。

「福島の事故のように突然故郷を追われ、いつ帰れるか分からない生活を送るような人をもう作ってはいけない」
「原発を稼働させておくことで核のゴミが発生し続けるし、テロの標的にもされかねない」
「日本のように地震の多いところではいつ福島のような事故が再び起きても不思議ではない」
といった反対派。

そんな議論が延々と続いている中でも再稼働の動きは着実に進み、とうとう再稼働が行われた原発がある。
鹿児島県薩摩川内市にある川内原子力発電所だ。
ここがなぜ最も早く再稼働された原発になったかと言ったら地元がすぐ同意したからだ。
市も県も、あっという間に認めてしまった。

どうして地元はすぐ認めたのだろう。
「そりゃあ原発はない方がいいに決まってる。でもお金が・・・」というのが本音だろう。

川内原発のある薩摩川内市は、過疎と高齢化と不景気がずっと覆い尽くしている町だ。
その周辺にある町も似たり寄ったりだ。
新幹線や高速道路など、インフラは大分整備されてはきたものの、それで景気がよくなったわけではない。
薩摩川内市も管内に入っているハローワーク川内の有効求人倍率は、ただでさえ全国の中でも低い鹿児島県の有効求人倍率の中でも一二を争う低さだ。
正社員はおろか、非正規雇用にありつくのも大変だろう。

そんな所の川内原発は地元にお金を落としてくれる大きな存在である。
国の補助金に、原発があることによる税収、そして原発があることで生まれる雇用。
お金になる産業を育成するのは時間がかかる。それに育成しても産業として成功するかどうかは分からない。
そうしている間にも過疎と高齢化は確実に進み、地元は衰退する。
このスピードをなんとか緩めるためにも、お金を今すぐ落としてくれる存在は喉から手が出るくらい欲しいものなのだ。
だから原発の再稼働を望んでしまう。

そりゃあ、あんな事故は起きてほしくはないから原発は無くなったほうがいいという感情は理解できる。自分としては、いつか原発がなくても日本の電力需要はまかなえるだろうと思うし、将来のためのことを思えばない方がいい。

でも、脱原発ばかり声をあげて、地元の苦しい財政事情など気にも留めないのはあんまりだと思う。
都会にいてずっと原発の恩恵を受けていて、急に脱原発を訴えるような人は地元の人ならではの感情をどこまで知ってやっているだろうか。

脱原発するくらいの金があるなら、薩摩川内市とその周辺の町にお金を落としまくって、地域の魅力をアピールしまくって欲しい。原発のある町が原発に頼らなくても魅力ある町に復活できるような手伝いをして欲しい。
原発のある町が、原発がもたらすお金に頼らなくてもいいほど産業が充実してくれたら、脱原発なんて簡単にいくと思う。


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