2015/04/18

日本郵便は切手を何枚発行したか-僕の小規模な嘆きその54

日本郵便は記念切手を年間何万枚発行しているか調べた話
それをまとめたのが下の表である。

平成26年度特殊切手発行一覧
名称発行日枚数(万枚)印刷会社備考
1宝塚歌劇公演100周年26.4.11300凸版300枚追加発行
2OECD加盟50周年26.4.2600カルトール
3おもてなしの花シリーズ第一集(82円)26.4.35000カルトール
4おもてなしの花シリーズ第一集(52円)26.4.35000カルトール
5切手趣味週間26.4.181300国立
6日本の山岳シリーズ第四集26.5.11200カルトール
7FIFAワールドカップブラジル201426.5.121170カルトール
8自然との共生シリーズ第四集26.5.15800エンスヘーデ
9ディズニーキャラクター(82円)26.5.232500凸版シール
10ディズニーキャラクター(52円)26.5.234000凸版シール 1000枚追加発行
11海外の世界遺産シリーズ第四集26.6.31200凸版
12野菜とくだものシリーズ第二集(52円)26.6.41000凸版シール
13野菜とくだものシリーズ第二集(82円)26.6.42000凸版シール
14夏のグリーティング(52円)26.6.232500凸版シール
15夏のグリーティング(82円)26.6.232500凸版シール
16世界遺産シリーズ第七集26.6.261100国立
17星の物語シリーズ第一集26.7.72000凸版シール
18日本の城シリーズ第二集26.7.151200カルトール
19ふみの日にちなむ郵便切手(52円)26.7.233000カルトールシール
20ふみの日にちなむ郵便切手(82円)26.7.233000カルトールシール
21浮世絵シリーズ第三集26.8.11200エンスヘーデ
22日本の山岳シリーズ第五集26.8.111200カルトール山の日2年前
23スヌーピーとピーナッツのなかまたち(52円)26.8.192500凸版シール
24スヌーピーとピーナッツのなかまたち(82円)26.8.193000凸版シール
25土木学会創立100周年26.9.11000凸版
26季節のおもいでシリーズ第三集26.9.21200国立
27秋のグリーティング(52円)26.9.52500凸版シール
28秋のグリーティング(82円)26.9.53000凸版シール
29子ども虐待防止世界会議名古屋201426.9.12500凸版
30ほっとする動物シリーズ第二集(52円)26.9.191000凸版シール
31ほっとする動物シリーズ第二集(82円)26.9.192000凸版シール
32新幹線鉄道開業50周年26.10.11200カルトール
33鉄道シリーズ第二集26.10.101200国立
34正倉院の宝物シリーズ第一集26.10.171200国立
35ハッピーグリーティング26.10.231000凸版
36伝統工芸品シリーズ第三集26.10.24800カルトール
37干支文字切手26.10.301100カルトール
38平成27年用年賀郵便切手(寄付金・くじなし52円)26.10.302300国立
39平成27年用年賀郵便切手(寄付金・くじなし82円)26.10.30380国立
40平成27年用年賀郵便切手(寄付金・くじ付き52円)26.10.301500国立
41平成27年用年賀郵便切手(寄付金・くじ付き82円)26.10.30185国立
42平成27年用年賀郵便切手(海外年賀切手差額用18円)26.10.30300エンスヘーデ
43古典の日制定26.10.311200凸版
44おもてなしの花シリーズ第二集(52円)26.11.63000カルトール
45おもてなしの花シリーズ第二集(82円)26.11.63000カルトール
46冬のグリーティング(52円)26.11.72000凸版シール
47冬のグリーティング(82円)26.11.72000凸版シール
48季節のおもいでシリーズ第四集26.11.201400エンスヘーデ
49日本の城シリーズ第三集26.12.10800カルトール
50ピーターラビット(52円)27.1.93000凸版シール
51ピーターラビット(82円)27.1.93000凸版シール
52春のグリーティング(52円)27.1.161100カルトールシール
53春のグリーティング(82円)27.1.161400カルトールシール
54ほっとする動物シリーズ第三集(52円)27.1.231000凸版シール
55ほっとする動物シリーズ第三集(82円)27.1.231800凸版シール
56野菜とくだものシリーズ第三集(52円)27.2.231000凸版シール
57野菜とくだものシリーズ第三集(82円)27.2.232000凸版シール
58北陸新幹線(長野・金沢間)開業27.3.131000凸版
59第三回国連防災世界会議27.3.13800国立
60海外の世界遺産シリーズ第四集27.3.261000凸版
10億3135万枚
平成26年度ふるさと切手発行一覧
1地方自治法施行60周年シリーズ愛媛県26.4.7500国立
2地方自治法施行60周年シリーズ山形県26.5.14500国立
3国土緑化26.5.301100カルトール
4地方自治法施行60周年シリーズ三重県26.6.19500国立
5地方自治法施行60周年シリーズ香川県26.9.10500国立
6第69回国民体育大会26.9.12500カルトール
7地方自治法施行60周年シリーズ埼玉県26.10.8500国立
8地方自治法施行60周年シリーズ石川県26.11.26500国立
4600万枚
印刷会社について 国立→国立印刷局 凸版→凸版印刷株式会社 カルトール→cartor security printing(フランス) エンスヘーデ→joh enschede stamps(オランダ)



こうしてみると色々面白い事実が見えてくる。
素人分析になるが見て行きたい。


・切手の発行日
この表をまとめて感じたのはなんと日本郵便はたくさんの記念切手を発行しているか!ということだった。
新しい記念切手が発売されたかと思ったら次の日にまた新しい記念切手が発売されている。

もし昭和の切手趣味少年のように、切手の発売初日の度に朝イチで郵便局の前に並んでいたら
遅刻だらけになってしまうだろう。
(こんなことまでして切手を買い求めようという切手少年はもう絶滅したと思うが。)

面白いなと思ったのが26年8月11日に発行された「日本の山岳シリーズ第五集」。
実はこの8月11日、来年の2016年から「山の日」として国民の祝日となる日なのだ。
地味に山の日2年前カウントダウンを山の記念切手の発売でやっていたわけだ。
果たして今年(2015年)は8月11日に山の記念切手の発売が来るだろうか?


・切手の発行枚数
表を見ると日本郵便の発行枚数の目安が見えてくる。

シリーズ物として出す最初の切手orまあまあ売れるだろうなと見込んだ切手→1000万~1300万枚
挨拶状等実用的な場面でも使えそうな切手→どーんと2000万枚以上
キャラクターもの→2000万~3000万枚
切手の題材としても地味だしこれ明らかに売れないよねと見込んだ切手→1000万枚以下

という感じだ。
こうしてみると日本郵便が力を入れて売り込む切手は販売枚数1000万枚前後を基準としており
どのくらい基準から離れているかで分かりそうだ。
今後発表される新しい切手の発行枚数に注目したい。


・切手の印刷会社
平成26年度は国立印刷局、カルトール(Cartor Security Printing)、凸版印刷、エンスヘーデ(Joh Enschede Stamps)の4者によって印刷されたことがわかる。
この内エンスヘーデは平成26年度から印刷を開始した新規参入組だ。
日本だけでなく外国の印刷会社にも切手の印刷を発注しているのは、質も維持できながらコストダウンにもつながるからだろう。

カルトールはフランスの印刷会社。170以上の国・地域の切手の印刷を請け負う他、公的な証明書の印刷も請け負っているようだ。「偽造されたらいけない」類のものの印刷ではかなり実績を積んでいるようだ。
カルトールが日本切手の印刷に参入したのは2005年。以来コンスタントに切手の印刷を請け負っている。よっぽど頼られているんだろう。それは上の表でもよく分かる。

エンスヘーデはオランダの印刷会社。ウェブサイトによると切手の印刷をはじめたのは1866年。
以来70以上の国や地域で切手の印刷を請け負った実績があるという。

表を見てもわかると思うが海外の印刷会社が多くの記念切手の印刷を請け負っている。
技術力の高い日本の印刷会社に印刷させず海外に外注するとは何事か!という意見もあるようだが、
カルトールもエンスヘーデも切手や紙幣の印刷の世界では大手であり、歴史も実績も国立印刷局に負けていない。
日用雑貨を中国の工場で作らせるのとは訳が違うのだ。

ところで日本もそれなりに技術があるから外国の切手の印刷を請け負っているんじゃないかと思うかもしれない。
残念ながら現在は行われていない。
ただ、1955年から2001年までアジアを中心に1000種以上の切手を発行し続けてきた。
このことは以下に詳しい。
お札と切手の博物館 平成25年度 特別展 切手と事件と舞台裏 ~こうしてぼくらは生まれた~ 展示解説書


・シール式の切手が増えた件について
切り離して売れないシール式の切手が26年度に入って多く発売されるようになった気がする。
そのためシール式切手のほとんどを請け負う凸版印刷の受注が多くなった。
27年度もこの傾向は続くようだ。

この背景ははっきりしないが、おそらくシール式で売れば1シートあたり820円(ないし520円)が確実に入ってくるので、売りさばきやすいということに日本郵便側が気づいたということだろうか。


・日本では毎年何枚の切手が発行されているのだろうか?
タイトルに戻るが、
記念切手でいうと平成26年度は10億7735万枚発売した
というのが結論になる。
しかし切手というのは記念切手だけではない。
世の中には記念切手以上に普通切手というものが圧倒的に出回っている。
残念ながらこの普通切手の発売枚数を調べることはできない(情報公開請求をやればできるかもしれないがただの興味本位で開示してくれるものではないだろう)
ただ確実に言えるのは、「記念切手よりも普通切手の発売枚数は多く、その枚数はおよそ10億8000万枚よりは何倍も多く出回っている」ということだ。
かなり当てずっぽうな考えだが数百億枚レベルで毎年発売されているのではないだろうか。


ところで、日本国内で製造された切手と外国の印刷会社に印刷してもらった切手では
切り離し具合が微妙に異なるのだそうだ。(参照:切手の”ギザギザ”にまつわるエトセトラ
ここによると外国製の切手は日本製よりも切り離しにくいという。
でも上の表のように(記念切手でいえば)相当外国勢であふれている中で切り離しやすさの違いを
見分けられる人は果たして日本にどれだけいるんだろうと思う。






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